志太釣師の間でアイドル的関東釣師がいる。釣師と言っても、その人気の秘密は釣りだけにとどまらない。渓の遡行はもちろん、ネオン街遡行でも先頭を努め、ポン引きの黒人を小突き回し、「さぁ、どうぞ」と遠征した志太釣師を店内に招き入れてくれる。料金交渉もキチンと片付け、後は遊ぶだけ!
 「ウチのヤツ(奥さん)、ビールを冷凍庫に入れるタイミング間違えやがって。どうしようもないっすね。」と漏らす関東釣師と、「賞味期限切れの冷蔵庫の余り物を処分しに渓に行って来る」などと言い訳をしながら家を出てくる志太釣師とはエライ違いだ!などとみっちゃんと笑いながら、一夜のテン場で、こう言う時にしか買えないコーンスターチなしの純ビールを煽る。

初めて渓泊まりする区間でタープを張る

 『「15:00頃には戻ってくるんじゃないかな?」と女房に言ってきたんだけどね・・・』とお互いで確認し合うことで、15:00には家に着いたつもりになってしまうオイラたち志太釣師。これも地元の渓ならではの逃げ口上か・・・関東釣師ならこうは行くまい。
 
 以前、この渓で会った釣師曰く「釣れなかったねぇ。魚が出たのは上からだよ。」と言われ、今釣っているのはまさしく“釣れない区間”。それでも、今シーズンはじめて満足に釣りをする嬉しさと、素晴らしい渓相に溶け込むような感じに酔いながら、大渕(左の写真とは異なります)に到着。

 15年近くこの渓に足を運んできたオイラにとって、この淵は“泳いで攀じ登る”場所以外の何者でもなかったのだが、前述の釣師が「結構手前の右側から巻道がついてるよ」と衝撃の発言。そんな事考えたこともなかった。淵まで竿を出し、チョッと戻ってみると、岩肌にはトラロープが張られている。この瞬間、脳裏に関東釣師の顔が浮かんだ。

 実は数年前に、ネオン街ナビのお礼に、関東釣師をこの渓のこの場所にお連れしたのだが、チョッと危ない目に遭わせてしまったのだ。それもこれも、「この淵は泳ぐもんだから!」と名所的な紹介をしている志太釣師がいたからなのである。
チョッと待ってくださいよぉ!
トラロープあるんなら、先に言って下さいよぉ!
関東釣師は確実にそう言っているに違いない・・・

 この淵は巻道で拍子抜けするほどラクチンに超えてしまった。
「巻かずに水通しなら、ある程度の水トレになるんじゃないですかね?」
と言う問いかけも、みっちゃんには通じるけど、後頭部10b程上を着いて来る関東釣師には最早言い訳にしか聞こえないらしい・・・そりゃ、そうだ!

 
 次の廊下も通らずになっている。
今までならば右岸をヘツって、最後の大岩をチムニーで登った。
同じようにトライをしていると、「こんなところも、案外、左岸に巻道があったりして!」とみっちゃんが軽く言うと・・・

 あったぁ〜ッ!
アブミまで打ってあるじゃんかぁ!

 そういう訳で、この通らずも難なくクリア。
ギックリ腰になりそうなくらい、拍子抜けしてしまった。


とは言っても、遡行そのものがラクチンな訳じゃない。
たまたま、淵と廊下のエスケープルートを志太釣師が知らなかっただけ・・・
かつて関東釣師には、悪いことをしてしまったけどね。
今度来る時は、その時の分を返して余りあるほどの接待をさせて頂く予定です。

そうそう、そう言えば、“関東釣師 in 南ア”と言う遊びも、
“志太釣師 in 関東”と言う遊びも、しばらくやってないなぁ・・・


この日は、昼に“吉田うどん”を食べ、“ヒル”に取り付かれながら、
スイッチバックを上り返して家路に着きました。


しまいにゃ、ボクも、怒りますよ!

みっちゃんの釣行記


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