とりあえず、歩いてみよう

 4月下旬、フキノトウが終わり、タラの芽とウドが美味しい季節になってきた。今回も相棒のみっちゃんと、山菜ハンターよろしく、通い慣れた渓に向かう。
 世間ではゴールデンウィーク11連休の初日なんて言われているこの日、さぞかし車止めにもたくさんの車が・・・と思っていると、崖崩れで車止めはかなりの距離、後退させられていた。
 後退させられた車止めに到着すると、意外にも小型乗用車1台だけ。「これはラッキーか」等と、ニヤけながら、どこに泊まるかも、どこまで遡行するかもハッキリさせないまま、「まぁ、えぇか。とりあえず、行ってみっか」と歩き出す。
 ザックの中身は、いつも変わらず大量の酒とツマミ。「渓の神に献酒だ」などと、自己正当化する台詞を撒き散らしながら、枯葉を踏み歩く。

 途中すれ違った小型乗用車のオーナー組2人は1泊2日で「あの辺をチョコッとやっただけです」との事だが、表情から察するに、ウハウハだったに違いない。
「雨が降ったら、小屋泊まりでもいいね」と言って到着した小屋からは、すでに煙が昇っている。他にも先行者がいたのだ。挨拶をしてやり過ごそうかと思ったが、日没も近かったし、何しろ焚き火を起こす手間もいらないので、メタボな身体に鞭打つ固い決意は早くも崩れ、敢え無く小屋泊まりとなる。先行者は山梨から2泊3日での入山プランの来た4人組。こう言う仲間は羨ましい。そう言えば、みっちゃんは、かつてこのメンバーの何名かと、と別の渓で会ったとか・・・
 往路にウドはなく、極上モノを採られた後のB級タラの芽を獲り、コッヘルでテンプラにし始めたオイラたちを尻目に、山梨4人組はステーを焼き始めた。お互い、カミさんに「山に持っていって食べてきて!」と持たされた賞味期限切れの食材をザックに押し込んできての夕餉もまた楽し!と言うのは、2人だけの時であり、目の前でステーキを焼かれると、途端に元気がなくなってきた。
 家に大量にあったタケノコはみっちゃんとオイラがダブって持ってきてノープラン振りを露呈。相手は三ツ星レストラン並か!と羨望の眼差しで見ていると、缶詰も乾き物も出て来た。「ナンだ、こっちと変わらないじゃないか!」と妙な安心感に包まれ、酒のピッチも進むのであった。
 
 持ってくる食材も安ければ、喜ぶ理由もチッチャイのである。

 翌朝は渓がカブらないよう確認し、サブザックを背負ってそそくさと一足先に小屋を出る。
 

やっぱりコイツは宝石です。


それでも、結構な距離、遡行した。
かつてのテン場は土砂で地形が変わり、プールまで出来ている。
ポツポツと現れるヤマトイワナの魚信を楽しみながら、
天高い青空の下を歩くのは、春の贅沢の1つ。
ビールと氷結、ラーメン&ライスでランチをとれば、後は帰るだけ。
小屋においてきたザックを再び背負って、エッチラオッチラ歩く。

心地よい疲労と捻挫の紙一重の間で、筋肉も嬉し泣き状態。
復路もタラの芽を獲りながら下山し、打ち上げ(?)会場に直行。
さすがに疲れていたのか、1時間ほどで、酔っ払ってきた。
渓酔い、街酔いともに、気持ちよかった4月下旬でした。

※※※※※みっちゃんの釣行記※※※※※

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