どこまでも人道的な山行



日時:H16.07.17〜19
目的地:最終的に秋山郷
メンバー:川上さん、斉藤さん、細谷さん、原さん(根がかりクラブ)、小林さん(フリー)



海の日三連休前日の金曜日の夜8時過ぎ。
上野駅13番線ホームの売店で一番搾りを飲みながらソーセージをかじっていた。
春先に「今年は泳ぐ渓に連れていって下さい」 とお願いしていた東大宮のKかみさんのところまで行くのが、北陸〜東北の渓に連れていって頂く時のパターンになっている。
準備もバタバタで新幹線に飛び乗ってやっとこの辺りで一息つくのである。

 22:30過ぎにKかみさんご自宅で「やぁやぁ、よく来たねぇ!頭もサッパリ夏向きだねぇ!」とエビスビールとアーリータイムスを頂いたのであるが、同行する小林さん、斉藤さん、細谷さん、原さんが集まった時には、イスの背もたれに頭をもたれかけて眠りに落ちていたのであった。
後々考えて見ればこの時点で今回の釣行は始まっていたと言うか、先が見えていたと言うか・・・そういう事なのである。

【ブナの森は心地いい】

 新潟の笠堀大川で大水泳大会と言うのが当初の予定だったが、「新潟を襲った連日の豪雨で死者も出ている中、上流部で宴会ってのは、どうも人間としてイケナイ。万が一こっちが負傷して救助を・・・なんてことになったら源流界にいられない・・・」との判断でこの計画は中止。政治家ではないが、同行者一同口を揃えて「これは人道的措置である」と納得しあっていた。
次の釣り場は、Kかみさんが山形県の桝形川に的を絞ってくれてあった。「土砂崩れで出来たドデカイ天然止水湖があり、そこを泳ぎきればその上はパラダイス!ただ、泳ぎきればだ!どうだ!」と遡行図を見ながらそう呟いた。
もちろん、オイラは即ノリだったのだが、斉藤さんとKかみさんがピンポイント天気予報を見ながら相談するに、どうやら天候が不安定らしい。ならば、雨から逃げて秋山郷にするか・・・との話になり、最終決定。
いずれにしても、オイラにとっては始めての渓であるから、気分はワクワクである。
合計6名が車2台に分譲し、関越道から、別天地秋山郷を目指す。

【早朝のテン場の風景】


 明け方、車止めには、既に車が数台。とりあえず無事到着の乾杯。まだ、早かったので一旦寝る。
 この間、ワンボックスが1台到着。ナント7人が下りてきた。起きていたのはオイラだけで、どうも高桑さんらしき人がいる。話し掛けようにも何となく躊躇していたら、その間にさっさと山に入ってしまった。
 その後、Kかみさんも起きてくると、ちょうど数台の車が到着。栃木の岩魚保存会数名と梁山泊が十数名。我々よりも上流部に入るとの確認が取れ、安心しつつ準備にかかる。
後から判明したのであるが、この時、秋山郷には、
・高桑信一氏がガイドを務めるパーティー7名
・下田香津矢氏(全日本暇人協会)のメンバー数名
・小峰吐渓さんパーティー数名
・梁山泊パーティー10数名
・その他数名

の合計およそ25名程が我々よりも先行し、その内半分は、車止めで抜かされていたのである。
しかも、悲劇はこれで終わらなかった・・・・・・

ともあれ、“自分たちの利益よりも他人の楽しみを優先してあげる”というなんと人道的な山釣りパーティーなことか!
この配慮のために飲まれた酒も、さぞ嬉しかろう!!
と言う事で、雨を避けて、雑誌に出てくる源流マンが一同に会してしまった秋山郷に入っていったのである。

【途中、水場には事欠かない】



  
 ほとんど平行移動の山道を、Kかみさん、小林さんはテン場を急ぎ、他の4人は一度本流に下りて、夕餉のオカズ調達の任務を仰せつかるが、出が渋く、昼過ぎにテン場合流となる。
この日は数名が僅かに竿を出しただけで、「明日の支流にかけるんだ!」と早々に宴会になだれ込む。

 途中、後発組2名が前を通る時、入る渓を確認し、行ってらっしゃいをしつつ、「明日の支流は貸切りだぁ!!!」と酒が進む。別に競っているわけではないのだが、Kかみさんとオイラとで焼酎を順番に飲んでいるうちに1g空けてしまい、ビール、バーボンも飲んでいたので睡魔が襲う。

悲劇は夜中に起こった。
顔を叩く風雨である。
オマケに夜中にテン場脇で落石があり、ヒヤッとして起き上がるが、事無きを得た。
その安心感からか、03:30頃起床した際に、ビールと氷結レモンと余ったバーボンをKかみさんと飲み出してしまい、二度寝をする。
 この間に1パーティーがオイラたちの前を通過したらしいが、、どの渓に入るかまでの会話が出来るまでもなかった。


 さて、我々もチャーハンで腹ごしらえをして支流に向けて歩き出す。
 増水して多少濁ったこともあり、オイラは朝間詰めのテン場前で4本イワナを掛けた。
支流に差し掛かったところで、ブルーシートを発見。
朝、会話もしないで(正確には我々が会話できる状態ではなかった)通過していった3人組がテン場を設営し、既に上流に向かったらしい。
 しばらく後から遡行し、釣残しを狙うが、当然渋い。
途中の8b滝で彼らが引き返せば・・・と思って後を追ったが、当然、彼らはその滝を高巻きして越えていった。
またもや、心ある我々は見も知らない釣師に渓を1つ譲ってあげると言う人道的行動に出たのである(自爆)。

 気を取り直して、本流を釣り上がる事に。
昨日今日と既に30名近い人間様が歩いていった本流だけに出は渋い。
それでも「夕餉にはイワナが必要!」と必死に竿を振り、数尾を確保。
オイラはエサ釣で痛恨のバラシを連発したため、テンカラにするが、出は渋く、チビが一匹針係りしただけで、プールでの見釣りでも合わせ損ねる失態。

 上部の支流までも辿り着けず引き返し、やけくその宴会に突入。
しかし、Kかみさんが真面目に竿を出した映像は最近では貴重ではなかろうか?
【後ろにいるのは誰だ?】 mouse on!



 こういう時の宴会はやや危険な香りがする。
チヂミ、油揚げのチーズ焼き、イワナ寿司、イワナの大蒜ムニエル、イワナの唐揚等、酒に合う(と思っているのは約2名)料理に酒も進み、カクテルパーティーを飲む斉藤さんも何時になくハイピッチらしい。
満天の星空にイビキを響かせ、雨も落石もない静かな夜・・・
たくさんの人に渓を譲ってあげた自分たちの“人道的配慮”を省みつつ床に就く。

 オイラは翌朝04:00起床。温もりの残る焚き火を大きくして、これまたオイラの自己満足的恒例行事である「早朝氷結グビ飲み」をしてしまう。
25%と40.5&%という連日の芋焼酎であったが、「イイ酒は残らない」を証明するかのように爽やかな朝を迎えられたため、喉が渇いた起き掛けに氷結はベストマッチである。

 白けてきた山際と鳥のさえずりを聞きながら飲むのは何とも言えずウマイ。
続々とメンバーが起き出し、再びチャーハンで朝食をとる間も、約2名は残った酒の整理に余念がない。
片付けば後は帰るだけ。

 それぞれのペースで来た道を戻る。

ブナの森を抜ける風は何とも心地イイ。

 この後、秋山郷名物「赤いお湯の温泉」に浸かり酒を抜き(しかし温泉の食堂の蕎麦は頂けない)、Kかみさん・斉藤さんの知合いの民宿で山菜料理とドブロクまでご馳走になり、「最低1人1,000円置いてけ」というKさみさんの指令に一同従い人道的配慮を実施し、このツアーを終えた。

 そう言えば、釣ったイワナも人数分と人道的、いや、魚道的配慮尽くしであった。
決して、釣りの腕が・・・と言う訳ではないと自分を慰めつつ・・・

【もうチチタケが出始めている】 【カキタケというキノコ。美味ではない】





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