気分は「おらが渓」


日時:平成16年6月12日(土)〜13日(日)
天候:曇りのち晴れ
メンバー:みっちゃん、シンヤさん、管理人

【写真/苔生す源流

 考えてみれば今年は5月興津川の鮎釣り以来、週末と言えば雨・・・夜中にテン場を撤収したり、顔に落ちる雨で車中に移動したり・・・釣りも出来ないので、結局ろくに体も動かさずに飲んでしまうというアルコールスパイラルに陥っていた。

 そんな折、かねてから地元組でこの週末に渓行きを考えていたが、週頭にナント台風が発生。「雨男は誰だ!」と責任のなすり合いをしつつも、実際問題金曜日まで雨。出発を躊躇するが、「オレは歩きたいんだ!」というシンヤさんからの鶴の一声で出発となる。
 久々の歩きで正直脚が疲れた。約2時間で泊まる予定の山小屋に着くが、先客もいたため、「天気がよさそうだから外で寝よう!」と林道脇の3メートル滝の近くにテン場をとる。

 出来合いのものからその場で料理したものまでズラズラと並び酒が進む。途中採ったウドとタラノメを天麩羅にして食べる。ウドは時期がチョット遅く渋みが強いがそれも春山の味覚と美味しく頂く。「何だ、呑み助のツマミじゃねぇか!」というオクラとミョウガの刻みオカカは源流居酒屋にはなかなかGooだった。
 酔うに連れ明日のルートの話から、既に釣ったような話に変わっている。まったく勝手なもんだ!残念ながら満天の星とはいかなかったが、水の音を聞きながらのテン場は最高である。
 チョット下がっている水場から酒を持ってくるときに“杉錦(本醸造)”を一滴の飲まず割ってしまったのは唯一の心残りか・・・
 とは言え、オイラは状況を問わず熟睡できるらしく、他の2人から呆れられながらも羨ましがられる。廃油ランタンがまだついている内にオイラはシュラフの人となった。

 翌朝は快適な目覚めで、3人とも納豆で一合飯を食べての出発となる。

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【原生林での昼食】
 小屋まで2時間20分という看板を見て出発するが、1時間40分で到着。互いの健脚を讃えることなどするはずもなく、「案内看板がいい加減なんだ!」と笑い飛ばす。
 ここまで来てやっと釣りが出来る状況なのだが、支流筋よりも本流筋で竿を出そう!と決まり、さらに1時間ほど歩くと合流点に出る。増水のせいもあって豊富な水量、木漏れ日のさす水面、どう見ても釣れないはずがない!
 ランチは朝の残り飯に紀州梅をまぶしたご飯と、マルタイラーメン。陽が出た空に、冷えたビールがあれば文句なしだが、生憎、既に酒欠。
 
 山屋さんたちが、長い暦の中で上流部への放流を続けてきてくれたおかげで、イイ魚が顔を覗かせてくれる。山とともに生きる人間の思いが息づく渓なのである。
 尺弱を吊り上げたシンヤさん、オイラに「オレだけボウズかよ!」と自分で自分を茶化すみっちゃんにも待望のアタリ。
 初めてのコースでもあり帰路が気になり早めの納竿となる。
 この山奥にヤマトイワナが生きていること、そのアタリを楽しめたことに満足し、釣り上がった渓を下る。
 この地点から下っていくのは、ここにいる誰もが初めてである。来た道を戻るよりも、未知のルートを行ってみよう!ということで、楽しみながら下り始める。

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【オイラの納竿合図:9寸ヤマト】
 かつては山小屋があったのだろうか?天然林が開けた場所にからになって一升瓶がゴロゴロしているところが数箇所。
 地図では左岸に廃道があるとのこと。
取り付いた斜面を登ってようやくその道を見つける。
渓は巨岩帯が続き、楽しそうだが、大変そうな川通し、という印象を受ける。廃道もガレで消えており、河床から遠のいたところで、川に近いほうがいい!と草付きを頼りにガレを降りる。右岸左岸と下る道を変えるが、それらしきルートが見当たらず、巨岩帯が超巨岩になる頃に、ルートもままならなくなったので、右岸のガレをよじ登って登山道にでよう!ということになる。
 これがナントもエライ目に遭ったのである。
取り付いたガレは水前寺清子の「三歩進んで二歩下がる」でなく「二歩進んで三歩下がる」状態で、やっとのことで痩せ尾根に取り付く。

 そうそう、この痩せ尾根に取り付くまでの山歩きで、見たこともないキノコを幾たびか目にした。
もちろん、食べられるか食べられないかも名前も分からないので、とりあえずデジカメに収めて、後から山の神に聞くことにする。


 痩せ尾根に取り付いたはいいが、取り付きたい木の根っこは、姿は立派だが立ち枯れているのが多く、掴んだ瞬間に折れて、落ちそうになる。
「あの切り開きが林道なんじゃねぇのか?!」と繰り返すこと数回。その度に、まだ続く斜面を舐めるように這いずりながら登ることを繰り返す。
 やっと林道が見えたときには、「これで助かった・・・」くらいに思ってしまうから、不思議である。思わずお互いのルートファインディングの能力不足をなじりながら、腰を下ろす。

【ナヨタケ:不食】
 ここで「そう言えばさぁ!」と思い出し話に花が咲く。昨日、テン場から出発して、この痩せ尾根を巻くようにして登る登山道を登っているとき、ニッカポッカ&アルミフレームの背負子にズタ袋を括りつけた坊主頭で「小屋のボッカですか?」というこちらの問いかけに「イヤイヤ・・・」と否定しながらも、スタスタと、しかし音もなく通り過ぎた若者がいたなぁ・・・アイツは多分ギョウジャニンニク泥棒だ!今頃、山荘かどこかに高く売りつけた金でイッパイやっているに違いない!許せねぇ!!でも、追いかけても追いつかねぇ!!!と負け惜しみを言いながら、しばしの休憩をとる。

 
痩せ尾根を通り過ぎる山風が絶句するほど気持ちいい。

 山の神に聞いて分かったヌメリスギタケモドキを倒木で見つけ、立ち木に見つけ、「これは何つぅキノコか?食えるのか?」と言いつつ、見上げると樹上にも鈴生り!!
春キノコをデジカメに収めつつ、足を進める。 

【ヌメリスギタケモドキ(美味)


【ヌメリツバタケモドキ(今回は見ただけだが食べられる)】
 林道に上がってから、3人で、「オイ、これだけアプローチのルートが少ないって事は、完全の竿抜け区間だなぁ・・・ってことは第二の入れ食いの渓かぁ?」と、今、ゼイゼイで下ってきたルートを、次回は釣り上がろうか!」という話になる。
スケベな釣り師はその時点で顔がニヤけている。この時点でこの渓の一定区間は「おらが渓」なのである。

 街に戻って、地元の居酒屋で一杯やる。楽しい思い出も、辛かった思い出も、酒の肴にしながら、頭の中は、次回の山歩きなのである。

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