忘れ物か、物忘れか?!

【年月日】2004年5月4日(火)〜5日(水)
【気 温】それほど寒くない
【天 候】終始雨・・・

【写真:カラフルなザックカバーが新緑を歩く】

 世間はゴールデンウィーク。
今年のゴールデンウィークは前半晴れ、後半雨という予報であったが、それまでに立てていた計画が “渓で寿司職人が作る寿司を食べるツアー”(命名:オイラ)なのである。
 今回の同行者の中にはかつてこの美味しい渓行きに行ったことのあるメンバーもいるのだが、オイラは初めて。 寿司職人の寿司を寿司屋でなく渓で食べられる・・・そのためにオサカナさんを釣らねば!という意気込みであった。

 とは言え、時期はGW真っ只中。地元藤枝のグータラ釣り師4名は昼を3時間ほど回ったころに集まり、1台の車に乗って買出しをして、 山渓に向かって出発したのである。この時点ではどう考えても「魚を釣る集団」とは思えない物の買い方なのであるが、いつものことだから致し方ないのである。
 車止めには幸いにして登山者、山菜採りを含めて先行者はいない。
夜半から振り出すであろう雨に備えブルーシートを張って宴会が始まる。
バカ話に花が咲き、このためだけに持っていった七輪でトロトロ炙り物をしながら酒は進み、おのおの寝床に戻っていく。
後発隊の2人が来たことに気がついた人はいるのだろうか?
これでは頭ハネされても、後の祭りなのである。

【写真:ピンボケだが春のキノコ】

 小雨の中を山道を歩き、キワドイ崩れをトラバースし、落ち葉で滑るスイッチバックを上っていく途中に、春なのにチャンとしたキノコが 落ち葉の間から顔を出していた。
 もちろん頂いてその晩の天麩羅にしてみるが、キノコの味自体ほとんどしなかったため、すべて食べる前に土に還してしまった。

 今日は雨予想なのでタープは車において小屋泊まりにする。小屋には以前来たときよりも“備品”が揃っており、持ってきた鋸やら銅線やらは ほとんど必要なかったのである。
 雨は降っていたが、各々釣りに出かける。オイラは寿司のためにそれなりのお魚さんを揃えないと!と心に秘め支度をしたのであるが・・・
 車止め出発時、親父の形見の釣りベストが見当たらない。
車中を探すが結局見当たらないので、「誰かのザックに紛れ込んでいるんだろう・・・」と言うことで出発したのであるが、山小屋についても 誰のザックにも入っていないので、オイラの釣り道具は釣りをする前からボーズになってしまったのであった。
とは言え、そこは仲間に助けられたのでありました。

【写真:このお方には大変お世話になりました】

 雨の中、出掛けた釣り・・・
「早く寿司ネタを!」が合言葉だったのだが、増水でポイントも失われつつあり、小雨後の爆釣!という期待とは 裏腹であった。
 写真の方がはじめテンカラで狙う。
数回のキャストの後フッキングし、合わせをくれた途端、バキッ!!と凄まじい音。
 見れば竿の継ぎ目でなく、一本の継ぎ手の途中が無残にも折れている・・・「ルアーしかなくなっちゃった・・・」というこのお方のテンカラの仕掛けを拝借し、 この釣行に間に合うようにヤフオクで代理落札してもらい、5,500円+送料600円+振込手数料525円の 合計6,625円で手に入れたDaiwa清瀬45(硬調・餌竿)のリリアンに結びつける。
 しばらく毛鉤を振っていると、濁りの薄い巻き返し&駆け上がりでカラーのラインがキュッと引き込まれたので合わせると、8寸程度のアマゴ。 これが初キープなので、悪いと思いながらも活かし魚籠に入れる。
これが翁の言う「糸フケで合わせる遅アワセなのだろうか・・・」などと一人で勝手に考えながら、それはそれで気分はよかったのであった。

【写真:こんな生き物も出現しました】

 オイラはこの後、エサ釣りに変え、尺ヤマトをゲットし、納竿。
シンヤさん、浅川さんと3人で飲みの体制に入る。
他の3名は雨の中、再び釣りに出かけた。もちろん寿司ネタキープのために・・・
 さて、飲み3兄弟は、着実にしかもシタタカに酒を消費していく。
ツマミは何でもイイのであるが、昼飯も食べずに、薄切りにしたレンコンを天麩羅にして、塩コショウでつまむと結構イケル。 ビールは焼酎、日本酒へと移行し、脳軟化症に陥っていくのである。 

 釣り組3名が戻ってくるころには、結構イイ気持ちになっている。
それもそのはず、13:30から飲んでいるのであるから・・・
釣り組が戻ってきた時間をはっきり覚えていないのだが、15:30くらいだろうか。
そこから、今回のメインイベント「寿司職人によるヤマトチラシ」がお目見えになるのである。
 単なる酔っ払いは、イワナのチラシだ!と叫ぶばかりで、根の生えた腰は一向を持ち上げようとしない。「まぁまぁ、さぁさぁ」と 手元にあるアルコールを帰還組に渡し、まずは全員揃っての乾杯をする。これで本当にホッと一息である。

【写真:不自然だが小屋に常備されているバケツ】

 写真左に見えるのがポリのパイプである。
この小屋を生計を立てるのに使っていた山の人が設置したのだろう。沢からずっと引かれていて、小屋からすぐの所で天然水が使えるのは嬉しい。 途中でパイプが抜けていたり、抜けかかっている箇所を修復したり、吸い込みに詰まってしまった落ち葉を取ったりと水が通る状態にする。
パイプから水が出た瞬間はやっぱり嬉しい。
 こういう事は街場では考えられないが、山に入ると手元に水があることのありがたみが身にしみるのである。
 その渓水で冷やされたビールとツマミを流し込みながら、腰を上げない集団はますます横柄になっていったのである。
「腹減った!」
「まだか、メシは!!」
「ビールが冷えてねぇぞ!!!」
「焚き火が寂しい!!!!」
と言いたい放題であるが、紳士な釣り組みはそういった喧騒とは裏腹に着実に夕餉の準備をしていた。

  
寿司桶にイワナ 焚き火にアマゴ パーフェクトなチラシ寿司
濁流から抜いた 雨でもイワナは元気

 お決まりになってしまっているが、オイラは早々にダウン。
夜っぴて飲んでいた人もいるようだが、渓では早寝早起きを地で行っているので、眠たくなったら無意識のうちに寝てしまうのだが、 シュラフもかぶらずに寝てしまうので、仲間に間いつも迷惑をかけるのであるが、今回も、そうであった。
焚き火のすぐ横に足を投げ出し、飲んでいた格好のまま、吸い込まれるように寝ていた・・・とのこと。本人は何も知らない。
翌日「お前の足が燃えちゃうかと思ったぜ!」と言われるほどであったが、本人は何も知らない。
早く寝た分、早く起きる、早く飲める・・・この図式が最近の定番。
焼酎サワーを持ってきて、再び灯した焚き火を見ながら、雨音をツマミに一杯やる。
仲間が起きてくるころにはイイ気分である。

【写真:結構なガレ】

 結局この日も雨なので、早々に切り上げる。 途中、日がさすシーンもあったが、一瞬のヌカヨロコビで、続くのは山道と雨。スタスタと車へと足を進める。

 写真はまさしく「リポビタンD」状態なのかもしれないが、ガレを越えた向こう側に待っているものは、ビデオカメラ。 『滑落したら記録に残そう!「家族にはお父さん頑張ったけどダメだった。ほら、ここに落ちてく最後のお父さんを記録しておいたから・・・」って 、家族に渡してやるから』とRECボタンを押し続けるクールなガイがいるのである。
 とは言え、最期の記録となることもなく、無事、ガレを走破し、車に着く。
帰路、踊っていたのは「今夜はどこで飲もうか!」と早くも気持ちがトリップしているオイラたちではなく、 ヒルの旦那たちなのである。
まだ、5月だと言うのに、いるところには足の踏み場を探さなければならないほどウヨウヨいる。
昼飯を食べに寄った店で確実になったことだが、ヒルに食われた後にヨモギの葉っぱを揉んで出た汁を 擦り込むと止血作用がある。オイラはたちどころに血が止まったのである。でも、山奥にはヨモギはないので人里に降りてきてからの止血である。

【写真:環境問題を考える】

 先発隊のオイラたちと後発隊の2人と帰路途中で別れ、オイラたちは街場の居酒屋に転がり込む。 そこで、環境問題について考えてみた。 今回お世話になった小屋の周りには、至る所にガスカートリッジ、ビール、殺虫剤等のカン、ビン、ゴミが散らばっている。 アルミ缶は焚き火で燃せば、ほとんどなくなる。 「来たときよりも美しく」が基本であるが、 現実はそれと程遠い。 「禁猟になってから、小屋の周りを掃除に来よう! 燃え盛る焚き火をツマミに酒と鍋でもやりますか!!」というと、既に焚火教教祖のお方などは、 そう聞いただけで、眼光鋭く、焚火大型炎養成マシーンのハンドルをグルグル回す素振りを続けている。

  生ビールを煽りながら、山の姿を想像するのであるが、ゴミを捨てるなよなぁ・・・と呟きながら、オレの汚物は浄化されるんだ、土に還るんだ! とファスナーを閉める彼とて、山をこよなく愛するナイスガイなのである。その姿をビデオに納める輩も、デジカメに収める輩もまた、 山を心から愛する男たちなのである。
どうやら、山のゴミを燃やしに行くときに、山小屋まで燃してしまわないように、気をつけなければいけないようだ。
もちろん、オイラも含めて・・・

 今回は、雨だったので、デジカメに防水ケースがないオイラはあまり写真を撮らなかったので、一緒に行った仲間の釣行記の方が、 状況に詳しいので、そちらをご覧ください。

今回の釣行記リンク
川虫くんの釣行記 オオシオさんの釣行記 バカなが隊の釣行記

 そうそう、出発時に見つからなかったオイラの釣りベストは、車の後部座席を持ち上げたときに、車内壁とシートの間に落っこちていた。 忘れ物か、物忘れか・・・アルチュハイマーになるにはまだ早いと自認しつつ、ベストがあったことにホッとしたのであるが、 非常に情けなくなって助手席にのったのでした(チャンチャン)。

ヤマトの独り言
 チラシ、オレにも食わせてくれたってイイだろうに・・・

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