【年月日】2001年9月某日(一泊二日)
【気 温】20℃以下
【水 温】13℃
【同行者】渓語りの翁、Nさん
<写真:入渓風景>・・・こうして豊かな山渓へ一歩一歩
Nさんから「一緒にどうですか?」と声を掛けて貰ってからは完全に浮き足立っていた。
憧れの翁との渓泊まりである。前日集合場所には既に翁もNさんも到着しており、
前夜祭の準備が完了したところであった。翁主催のどんぐり山の会
が開く山菜教室、キノコ狩り
でお世話になって依頼、久々の対面である。
こっちは緊張と喜びのあまり口が開きっぱなしである。
そんな中、ジンギスカン風テーブルコンロで焼き肉前夜祭を始め、程良い頃、
床に着く。翁は勿論寝袋でベンチ寝・・・オイラも当然右に倣う。
今回の釣行は、オイラはイワナおよびアマゴとの対面は
出来ずじまいであったが・・・・・・
●秀山荘ウェーディングシューズでのバージン釣行
●鮎タイツ以外でのズボン&スパッツでの初釣行
●初のノーパン釣行
●初の山小屋泊まり
という初物尽くしの渓行きとなった。
こんな事をして、寄り道をしながら・・・ この時、キノコはチョット高くなっている平らなところにある確率が高いことを 翁の行動を見ながら盗んだ!” | かと思ったら、マムシ(子どもだが・・・)の獲り方を 教えて貰ったりしながら(翁はかつて2時間歩く数`の間で十数匹を捕まえ、気味が悪くて 帰ったこともあるという・・・) | 天然シイタケという翁もビックリのお宝にありつき・・・ (ここにはセンボンイチメガサの大群生もあった) |
と言ったように、実に楽しく渓を遡っていったのである。
だが途中翁もビックリという自然現象に立ち会う。
それは、渓の流れがある一転を境に濁流と笹濁りが分水嶺のようにキレイに
分かれているのである。別に湧き水があるわけでもなく、土砂崩れがあるわけではないのだが、
ある一転を境に明らかに流れが違うのである。とは言うものの、台風11号の余波で水は必ずしも
清流という訳にはいかない。
<写真:翁のテンカラ実地指導>
とは言うもののキノコを獲ってばかりいたわけではない!
日光テンカラの師である翁から、
『違う違う、こうやってやるんだ』と直接、グリップまで一緒に握って貰って、
指導をして貰った・・・のだが、テンカラでも、エサでも渓魚の顔を見ることはできなかった。
増水気味の流れにN氏が翁の視線を後ろに浴びながらテンカラを振る。二度三度毛針を打ち込む
ものの、魚は顔を出さない・・・
『違うんだって・・・こういう時は、巻いているところの上に居るんだって』
といって、N氏が毛針を打ち込むポイントを変えたその瞬間、
いきなりイワナが食いついてきた!我が目と耳を疑った瞬間だった!翁の言ったとおりに
なったのである!!
その後は、翁、N氏、オイラの誰にもイワナは姿を見せず、3b〜4bを越えると思われる
土砂の段差を見ながら、「魚も流されちゃったかなぁ」と呟きながら遡っていくが、
キノコは本当に豊富な渓だった!
天然シイタケとヒラタケという超お宝キノコ! これは後ほど“天麩羅”となり、我々の胃袋を踊らせた。 | シイタケ、ヒラタケ、センボンイチメガサ、キシメジ、ムラサキシメジ、チチタケ、イグチ、 タマゴタケ、アンズタケ、ホウキダケ・・・と言ったキノコが、天麩羅、油炒め、 キノコ汁と言った翁スペシャル料理に化けていく | 翁が『チョット行ってくる』なんて言って戻ってくると、これだけのご馳走! 天麩羅にした油は、油炒めに・・・残った油はティッシュを紙縒にして ランタンに・・・何と言っても食料は山渓の恵みを直接頂く ・・・全く無駄のない翁の山の法則(?)である。 |
<写真:翁との2ショット>
翁は道すがら蕗の葉を探していた。 それは翁が持参した味噌と共に蕗味噌となって、 酒のツマミには最高の一品となった!!さらに、 翁の手打ちうどんはまさしく絶品であった!!! | 千葉大学の釣り部3名との晩餐。この3人他数名が源流嗜好で、全国の渓に出かけているという。 翁の計らいで彼らも山渓の恵みを堪能した。出身も仕事も違う6名が 偶然この渓で巡り会い、食事を共にする。山渓を愛する人だからこそなせる業である! | できあがったキノコ飯!翁曰く 『味付けのミソは砂糖だ!砂糖がキノコのエキスを中に閉じこめて美味しくするんだ!』 これは翌日の昼御飯にもなった。この他にもキノコ雑炊も美味しかった。 |
<写真:山渓の面白さを伝える翁>
翌朝はキノコ飯、キノコ汁とキノコ尽くしで腹ごしらえをし、更に上流部を目指す。<写真:今回の最奥部>
午後1時、バラバラに渓に入っていた6名が再び集まり、キノコ飯とキノコ汁で昼飯を済ます。 我々はここで渓を降りなければならない。千葉大学の3名ともここでお別れである。 翁の渓料理フルコースを食べた彼らは、夕べ、 「一食で3日分の栄養獲った気がします」と満面の笑みを浮かべていた。 Nさんとオイラも勿論その一人であった。
帰路は川通しでなく、林業で使っていた山道を辿って帰ることにする。
「このキノコ、何て言うんですか?」
『いい加減に覚えねぇと、ダメだなぁ』
「これは食べられるんですか?」
『ダイジだぁ』
と道すがらキノコ獲りつつ、山道の歩き方、木の名前のレクチャーを受けながら歩を進める。
<写真:出発前に山小屋で>
快適な山道歩きを続け、キノコもたくさん獲れた!最後は岩壁に取り付きよじ登る。
今回の釣行では、全くもって翁に全部お任せになってしまった。
それだけに学び取ることも大変多かった。キノコ、小屋泊まり(ナベがあって助かった)、料理、
魚がいるポイント、山の歩き方、荷物とパッキング・・・数え上げればきりがない。
最も勉強になったのは翁の山渓に対する姿勢・愛情である。
本当にいろんな事をよく知っている。昼夜を問わない
翁の渓語りは脳味噌に響いた。驚いたのは、
もの凄い健脚である!
また、前夜の焼き肉パーティの時と渓を遡行し始めたときの目つきが全く違うのである。
渓を歩き始めると
カッと目を見開き、何事も逃さない!という目つきに変わっている。
晩餐になれば、また優しく細い目に戻っている。
帰りに翁自作の毛針をおねだりしていただいた。オイラの宝物だ。着替えが終わると 『あぁ、生き返るなぁぁぁ』と漏らして、『じゃぁ』 といって、近所のスーパーから自分の家に帰るみたいにして車が去っていった。
今回の釣行では“山渓は楽しい”
ということを一泊二日の全行程を通して翁からたくさん教えて貰った。また、渓泊まりを
ご一緒頂けたらと思うのだが・・・
それにしてもキンパクは全く居なかった・・・