今年もカレンダー上の解禁から遅れること3週間・・・待ちに待った解禁がやってきた。
今年は年明け前から雨が少なく、渓流フリークは「嘆き声」「ボヤキ」が多かった。
情報を仕入れた釣り道具屋でも、
「雨が少ないからダメだねぇ、いい話は聞かないねぇ・・・今のところは・・・」というのがほとんどであった。
さて、そうは言っても、釣れる・釣れないという以前に、渓流に行かないと、
オイラの春が来ないのである。
例年そうなのであるが、オイラに限ったことでなく、渓流フリークたちは、解禁の何日も前から、
やれラインをどうする、ハリをどうする等と、既に揃っている道具さえも、「本当に大丈夫なのか?」と
異常なまでにナーバスになる。非常に喜ばしいことである。これでイイのである!かく言う私も、
一週間前には既に準備万端。
後はレオーネのイグニッションを回すばかりとなっていた・・・。
とにかく、渓流に行けば、落ち着くのである。
さて、迎えた3月20日(土)の夜である。日中の仕事は当然、手につかない。これもよろしい!
入渓前の腹ごしらえと運試しを含め、ここのところ何回か、泰三と大内とラーメン&餃子を食って、
入渓していた。
今回は静岡市八幡にある「イタリア軒」。チャーシューで有名な店である。
以前立ち寄った、静岡市清閑町の「とんとん」「福龍」はOK。
浜松市の「Asian Noodle」は悲惨な結果となった、という経緯がある。
そういった意味では、どこのラーメン屋に行っても「よぎる」ものはあるが、
イタリア軒では「担々麺」と「手打ちチャーシュー」を大変美味しく頂き、
「爆釣間違いなし」を確信し、いざ、出発となった。
【釣行日】 1999年3月21日(日)
【気 温】 −2℃(AM5:50)
【水 温】 6℃(AM6:30)
午前4時に目が覚めた。前日は24時過ぎに車止めに付き、
沼津ナンバーの白いエスクードが先行者でいるではないか!
「オイラの自主解禁もこれで終わりかなぁ」と思いつつ、エスクードの中をライトで照らす。
フロントガラスには雪が積もっている。到着から時間が経っている証拠である。中に、既に人はいない。
この寒い時に、泊まりで入渓しているのであれば、オイラを凌ぐ、
よっぽどの物好きであろう。ひょっとしたら、
登山者かもしれない。いずれにしても、オイラが今から入渓するコースとダブルことはなさそうである。
先行入渓にしても、
もっと上流に行っているだろう。
そんなことを考えながら、朝飯を食う。自主解禁を祝して赤飯である。
5年前の非常食:アルファ米である。
前日夜中の信州の純米酒と合わせ、前祝い完了である。
そして今回は海外はブルガリアからの強い見方"Martenitza"というお守りもある。
これはオイラの大学・大学時代の親友:原浩治(はら こうじ)の友人で
"Elena"というブルガリアの美女がいる。この"Martenitza"は
3月1日にブルガリア市民が健康や成功を祈願して体や壁につけたりする(写真参照)。
しかも出発日当日にエアメールで送られてきたのである。
Good Timing!これを、ベストにつけて釣行に出る。絶対釣れる!私はそう確信する。
ドン!(自信を持って、机を叩く音)
例年通り、山道を下り、川床へ。南アルプスは雪化粧がきれいである。
先日からのみぞれのせいであろう。
早速、エサ採り開始である。一応、予備でミミズとブドウ虫は用意しているが、
何と言ってもキンパクである。
ここ栗代は、キンパク丼でも有名である。だが、水温6℃の流水は冷たい。
それに重ね、キンパクの数も思ったより出ない。
それでも釣りになるくらいはゲットでき、仕掛け作る。0.4号ラインの通しである。
出かける前に見た雑誌で、
「0.4で尺を抜く!」等という見出しがあり、
「んじゃぁ、オイラもやったるけんネ!!!」と息巻いて、仕掛けを巻いていた。
緊張の第一投。緩い流れの巻き返し・・・絶好のポイントである。魚信なし。
この繰り返しである。しばらく魚信は出なかった。
そして、胸まで浸からないと越えられない場所・・・何のためらいもなく渡河する。
鮎タイツは偉い!とはいうものの、
寒いものは寒い。渡河の後、早速焚き火である。川床が湿っているので、
ガスバーナーを下で焚いて、その上に葉っぱや薪をくべる。
30分ほどの休憩。湿った鮎タイツから湯気が立ち、焚き火の煙が渓を上る。
曇り空と煙の色、何となくいい。
投じた何投目であろうか。今までで一番いい雰囲気であった。写真の場所である。
ここに3投繰り返した。ムードがそうさせたと思う。その3投目である。
ドヨという感触が伝わってきた。んんん?ってな感じで、
これが魚信なら、イワナだなぁなどと思いつつ、軽く合わせる。手応えあり。ちょっと待って、
確実に食っているのを確信したとき、ビュッと琥珀のロッドをたわませて合わせた。
赤い○がそのポイント。
のった!その瞬間、銀色の魚体が水面かでユラッと光った。
デカイ!顔は既にニヤけているが、緊張している。
流芯の向こう側でのヒットであり、雨で増水している流芯を越えるのはブツがデカイだけに一苦労であり、
バラさないように慎重に、力強く手元に寄せる。水温が低く、エサもそれ程豊富でないせいか、
ほとんど無抵抗のまま、ランディング成功!
ヤイヤ〜イこれである。ちょうど尺。渓中に奇声が響く。
嬉しくて仕方ない。
「こんなんでエエのかぁ」などと、余りの境遇の良さに、自問する。
自主解禁ファーストゲットが尺イワナである。こんないい年はない。
写真撮りまくりで、しばしイワナの顔を眺める。
川原にあげられたイワナは「???」状態である。いつもこうである。
だからイワナなのである。「イワナは歩く」と言われるが、
やっぱり本当である(写真の通り)。
それにしても、自主解禁第一号が尺イワナであるから、そりゃもうタマランのである。
喜びの一部始終をカメラに収め、上流への向かう。
途中途中、エサを打ってみるが、魚信の数自体は多くない。魚影も目立つほど走らない。
「尺イワナ1本で終わりかなぁ・・・」などと思っていると、来ました来ました。
「ドヨッ」。
中でも針掛かりして落としたのが2本(1本は掛け直してキャッチ!)。
魚体を確認してバラしたのが2本(1本は尺だった)。
ポイントと出てきたアマゴ君たちは写真の通りである。
顔が出てました。 |
やはり、Easy Landing |
何ともかんとも |
鼻曲がりである |
アブラ鰭大王! |
Beautiful! |
途中、雨がパラついてきたので、瞬間的にヤバイと思い、意識は「帰らなきゃ」と思うのであるが、
体は上流へ。 「雨に似せて、毛針振ってみよう」と思い、テンカラを試す。
自作毛針でオイシイ思いを期待した。第一投で・・・目きりが早いせいで、ラインがたわみ、
岩陰に針が入ってしまったので、「振り直し」と思って、竿をあげたとき、針がスーット上流に走った。
その時である。岩陰からデカイアマゴが針を追った。しかしながら、オイラ本人は「まさか第一投で・・・」と
見くびっていたため、魚影を確認するより早く、ラインを上げてしまっていた。
それっきり、アマゴは針を追わなかった・・・
大反省
こんなこともあった。
多少、増水しているとは言いながら、水は澄んでいる。下流から水面を見ると、アマゴが上流を向いて、
ポッカリ口を開き、エサの来るのを待っている。すかさず、エサを投入するが、
竿の気配を感じてか、食わなかった。
そんな場所が2ヶ所あった。
「見える魚は釣れない」と言うが、自分の集中力・技術の甘さを痛感した。
そうこうしている内に、最後のポイントを迎える。
そこでこの日最大の尺五分のアマゴをあげ、
超スーパーご満悦である!
実はこのポイント、一昨年も尺1寸のアマゴをあげている場所である。
さすがに大物が棲む場所は決まっている。
エサがたくさん流れてくる一番オイシイところにいる。彼氏は下の写真。勇敢そのものである。
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これで納竿である。自主解禁は結局5尾を魚籠に納めた。出来過ぎである。
帰りの山道で3人のパーティーを抜かした。オイラと同じところから入渓したらしく、
釣果はダメだったらしい(当然と言えば当然)。
帰りにオイラの魚籠を見て、大変羨ましそうであった(これも当然と言えば当然)。
昨日の夜中に来ていて本当によかった。おかげで、ものすごくイイ思いをさせてもらった。
ただただ、大自然に感謝である。
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魚の独り言
この時期は、そんな暴れんテ!ワシャ、流れてきたキンパク、ゆっくり食うだで。チャンと流してヤ・・・